世界史/ウィリアム・H. マクニール

気になっていたので読んでみたが、結果的に時間の無駄だった。世界史を学ぶこと自体は様々な点で有益だ。ただ、この本がその最良の書かと問われたら、答えは否だ。何より日本語の読者にとっては、訳が悪い。あとから調べると、これは至るところで指摘されていた。特に下巻で文章がスムーズに流れない箇所が多く、著者の伝えたいことが伝わらない。これはつまり、訳者が原文の正確な意味をつかめていないか、または日本語に直す能力が低いかのどちらかと言わざるを得ない。一方で、内容もそれ自体が若干無機質で、下巻からは西洋史の知識を前提として話が進んでいる。結局、私にとって本書は著者の個人的な歴史解釈のまとめ書きという印象しか残らなかった。一般読者が世界史の面白さに魅了されるような類の本ではない。

What I Wish I Knew When I Was 20

“二十歳の時に”と書いているが、それは著者が大学生を相手に講義をする身であり、また、この本が彼女の息子のために書かれたからであって、実際には二十歳を過ぎた人が読んでも有益だ。ただ、やはり若いうちに読むべき本だと思う。これを読んだら人生が劇的に変わるという訳ではないが、この本に紹介されている多くのエピソードは面白く刺激で、その蓄積が醸成されて、今後の人生を歩む上での心構えができる。そんなこの本から私が一行だけ抜き出すとしたら、それは次のものだ。“Attitude is perhaps the biggest determinant of what we can accomplish.”

※原書で読んだので訳書の良し悪しはわからない。